みなさま、こんにちは。
一般社団法人日本レジリエンスエデュケーション協会の
山本千香子です。
新入社員研修がひと段落し、
今まさに「やり切った!」という余韻と、
「もっと良くできたかも…」という問いのあいだで、
この春を振り返っている方も
多いのではないでしょうか。
エネルギーあふれる場をつくり、
誰かの第一歩に立ち会った日々。
その濃密な時間の中で、
“学び”の価値と力をあらためて感じた方も多いはずです。
今回は、そんな私たちが日々届けている「学び」が、
脳と心の健康=レジリエンスを支える力になるという、
心強い最新知見をお届けします。

2024年7月、『The Lancet(ランセット)』誌にて、
認知症の予防・介入に関する報告書が発表されました。
この報告では、
最も効果的な予防要因のひとつとして
「教育(Education)」が取り上げられました。
これは、私たちが届けている“学び”が、
ただのスキルアップではなく、
「レジリエンス(人生のしなやかさ)」を支える
ことにつながる医学的裏付けでもあります。
右の図は、報告書に掲載された
「認知症の予防と介入の全体像」です。
人の人生を3つのステージに分け、
各段階でどんな介入が可能かを示しています。
※図の出典:The Lancet Commission, 2024年報告書より
「認知症の予防・介入・ケアに影響を与える要因の全体像」を
視覚的にまとめたもの

【緑:幼少期(0~18歳)】
・教育(Education)が中心的要因。
・幼少期の学びが、将来の「認知予備力」を高めます。
つまり「学ぶ力を育てること」が、認知症のリスクを下げるということ。
【黄色:成人期(中年~老年)】
・聴力低下、高血圧、アルコール使用、外傷、肥満、喫煙、抑うつ、社会的孤立、
身体活動の低下、糖尿病、大気汚染など、合計で12項目の要因が並びます。
注目すべきは、人生後半にも介入可能なことが多いという点。
生活習慣の改善、社会とのつながり、気持ちのケアも効果的です。
【青:高齢期】
認知症の兆候(Cognitive symptoms)が見られる段階でも、
持続的な学びや社会参加による介入が可能であることを示しています。
たとえ高齢期になっても、「手遅れ」ではないという希望が込められています。
レジリエンスは、一生育てられます。

研修講師やキャリアコンサルタントなど、
対人支援職としての毎日は、ただ“教える側”に立っているようで、
実はいつも、“自分自身も育てている時間”でもあります。
たとえば…
・クライアントの問いに向き合い、悩みながら言葉を探す
・組織の課題に対して、新しい視点から提案を組み立てる
・講師としての自分を見直し、学び直しに挑む
こうした日々の積み重ねは、
私たち自身の「視点を増やす力」「しなやかに考える力」を育てています。
それってまさに、“レジリエンスを実践している”状態なんですよね。
ランセット報告では、「教育や知的活動は“脳の筋トレ”になる」とありました。
でも、学ぶことは、脳だけじゃなく“心”も鍛えてくれることを、
実感されている方も多いのではないでしょうか。
新しい知識に出会う。
うまくいかなかった出来事に意味を見つける。
これまでとは違う捉え方に触れる。
そうやって、考え方や感じ方に柔軟さ=しなやかさが生まれる。
つまり、学びは“レジリエンスの筋トレ”なんです。
まとめ
✓ 教育は、認知症リスクを下げる“最重要予防因子”
✓ 成人期の学びや仕事からの気づきも、脳と心を守る知的活動
✓ 学びは「レジリエンス=人生の選択肢を増やす力」を支える
✓ 支援者である私たち自身も、“生涯レジリエンス実践者”

春の研修シーズンを駆け抜けた皆さん、
まずはお疲れさまでした。
そのエネルギーとまなざしは、受講者だけでなく、
自分自身のレジリエンスも、きっと強く育てていたはずです。
学び続けること。
問いを持ち続けること。
自分の成長に、ちゃんと気づいてあげること。
これからも、そんな支援者であり続ける皆さんと、
レジリエンスという視点でつながっていけたら嬉しいです。
このメルマガが、あなた自身の「今ここ」をねぎらい、
「これから」への小さな希望になっていたら、何よりです。
また次回も、現場ですぐに使える、
“ちょっと話したくなるレジリエンス”をお届けしますね。
次回のメルマガでまた、お会いしましょう!
一般社団法人日本レジリエンスエデュケーション協会
山本 千香子
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